児童精神科症状
不登校・登校しぶり
何かしらの理由で学校に行きにくくなってしまうことがありますが、理由がすぐにはわからないことも多いです。お子さん自身の特性、学校での問題など様々な理由が混在することもあります。学校に行けなくなると親御さんとしては、将来のことなど色々と不安になると思います。
お子さん自身の思いを尊重しつつ、心と身体が健やかに成長できるよう、作戦を一緒に立てていきたいと思います。学校を目標にするのか、学校ではない場所で社会とつながる経験をしていくかのか・・・お子さんの性格や特性も様々、家庭環境も様々、また受け入れる学校の態勢がどこまで整っているのか、など、同じ「学校に行きにくい」というお子さんでもやり方は一人一人違います。時間がかかることもありますが、一緒に応援ができればと思います。
不安が強い
人間は、自分の身を守るために適度に心配があるのは正常なことです。ところが、本来できるべきことが余計な不安のせいでできなくなるのは良いことではありません。イマジネーションが多くの人とずれたり、見通しが持ちにくかったりすると、不安になりやすくなり、日々の生活に支障が出てきます。不安から怒りっぽくなることもあります。どういう時に不安になりやすいのか、またそういう時にどう不安と向き合うのか、時間をかけて一緒に乗り越え方を探します。
多動、衝動など
じっとしていられない、常にソワソワと体を動かしている、など、学童期以降にこういった症状があると、集中して授業が受けられなかったり、学校で「問題児」として見られてしまったりします。自尊心が低下することで二次障害を併発したり、学習に影響が出たりすることが懸念されます。知能検査や行動観察などを行いながら、発達特性について評価し、環境調整や、必要に応じて内服の相談をします。
学習の困難さ
同学年の子に比べて読み書きができない、計算ができないなどが見られる場合、知能面に課題がある、もしくは知能は正常であるにもかかわらず、読み書きや計算がうまくできない(学習障害)といった可能性があります。複数の検査を行うことで、その弱さがどこからきているのかを見極める必要があります。保険診療でできることに限界もありますが、一緒にお子さんに合った学習環境を整えることができればと思います。
集団行動が苦手
多くの人にとっての「当たり前の考え」とお子さんの思う「考え」にずれが生じると集団生活に困難さを感じるようになってきます。また、「すべきこと」がわかっていても、目に見えたものや聞こえた物音などに反応してしまい「すべきこと」ができず違う行動をとってしまう、なども集団行動の苦手さに繋がります。同年齢のお子さんと知的レベルに差がある場合も同様のことが起こります。
学校や園が求めるレベルとお子さんの特性がマッチしていない場合も、集団生活にしんどさを抱えてしまう可能性がありますので注意が必要です。
学校や園から指摘をうけることがありましたら、一度ご本人の特性がどのようなものか、集団のレベルにマッチしているのかなど評価ができるとよいと考えます。本人と学校・園側の双方のストレス緩和につながるよう応援いたします。
育てにくさ
感覚の受け取りに過敏さがある、イマジネーションが周りとずれる、などによりお子さんが不快感をしめす場合、周りの大人はなぜ不機嫌になっているのか、なぜ泣いているのかが理解できないことがあります。当然ですが、お子さん自身もそのことを上手く言葉で説明できるわけでもありません。また、思い通りにならないときに上手に感情のコントロールができないと周りも疲れてしまいます。こんなとき、親御さんは、「なんだかこの子は育てにくい」と感じてしまい、愛情をうまく注げず子育てに自信をなくしてしまいます。
理由がわからないかんしゃくはもちろん、理由がわかるかんしゃくの場合も対応を誤ると育てにくさを助長する可能性があります。お子さんを怒らせないために何でもいうことを聞いていると、自然とお子さんは、要求を通す手段が「かんしゃく」になってしまいます(誤学習)。逆に「ダメ!」と禁止したり罰を与えたり、むやみに説得するばかりだと、お子さんとしては、自分を否定されたような気持ちになり自尊心が低下したり、親子間の愛着形成がうまくいかなかったりという問題が出てきます。
長い人生の中で、思い通りにいかないことに直面することは多々あります。上手に感情をコントロールし、「仕方がない」で収められるように応援ができるとよいですね。そのためにもまわりがお子さんの特性を理解し、対応の工夫を一緒に考えられたらと思います。
朝起きられない
思春期のお子さんの朝の起きにくさは、起立性調節障害が隠れていることがあります。
身長がぐんぐん伸びる思春期のお子さんは自律神経の不具合が起こりやすくなります。自律神経が乱れると朝起きにくくなり、午前中の体調不良などをきたします。
また、寝つきの悪さなどの睡眠障害も朝起きに影響を及ぼします。特に発達特性のあるお子さんにおいては乳幼児期から睡眠障害を併発することも珍しくありません。
生活リズムの乱れは、社会生活にも支障をきたします。遅刻や欠席が増えると、学業の遅れや人間関係の不安定さにつながり、そこから不登校へと発展することもあります。
当院では、身体のこと、発達のこと、いろんな側面から評価を行い、安定した生活が送れるよう応援いたします。