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心身症

心身症とは

器質的ないし機能的障害を認め、心理・社会的要因によりその症状が増悪・寛解を繰り返す疾患の総称です。思春期に多くみられる代表的な心身症に、起立性調節障害と機能性消化管障害があります。

血液検査、画像検査などで異常を認めないことが多く、怠けと誤認されやすく、それが本人の苦痛となるため、注意が必要です。検査で異常がなくても機能的な障害を認めるため、周囲はそれを理解した上で応援していく必要があります。

どういうメカニズムで起こっているのか、本人にも疾病教育や生活指導を行った上で、症状がありながらどう生活の工夫をしていくのか、時間をかけながら治療をしていきます。症状を和らげるための薬物治療もご提案します。ご希望があれば、診断書等で学校とも連携を行います。

起立性調節障害(OD)

思春期に好発する、自律神経の失調症です。身長が伸び、身体のバランスと自律神経のバランスが崩れ、朝起き不良、午前中の体調不良、頭痛、食欲低下、不眠などをきたします。

問診から、この疾患が疑われる場合には、血液検査で異常がないことを確認し、新起立試験を実施します。新起立試験とは、10分間横になったのち、10分間立位を保ってもらい、この間の血圧や脈拍の変化によりODの診断を行う検査です。この新起立試験では、現在わかっているODのサブタイプのうち、4つのサブタイプが診断可能となります。

疾病教育、生活指導に加え、漢方を含む薬物療法を行います。お子さんの性格や置かれている状況、学校環境などにより支援の仕方も工夫する必要があります。

先述のとおり、ODも怠けでは決してありませんが、自律神経はストレスと密接に関係します。学校が嫌いではなくても、遊園地や大好きな推しのライブに行くのと学校に登校するのとではモチベーションは全然違います。学校に行こうとすると余計に起きられない、といった場合には、起床後の目標を学校としない、という戦略も実は有効です。引きこもりにならない、でも身体の健康も応援する、その匙加減は非常に難しく、親御さんもヤキモキするものです。時間をかけながら一緒にお子さんの応援ができればと思います。

機能性消化管障害

口から肛門までの消化管の運動機能障害によって、痛みや不快感などの自覚症状をきたす疾患の総称です。症状により生活に支障をきたすことが問題となります。機能障害の部位によって、非びらん性胃食道逆流症、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群などの分類があります。その多くがストレスにより自律神経を介して症状の増悪が認められると言われています。腸と脳はお互いに密接に影響を及ぼし合っていること(腸脳相関)が関与しており、脳で感じたストレスが腸に伝わり症状を引き起こす、その症状によってまた脳が不安を感じる、という悪循環が生じてしまいます。

診断は除外診断が基本です。レントゲン、超音波検査といった画像検査や血液検査では異常を認めないことが前提で、問診などで診断します。治療は、この腸脳相関の悪循環を断ち切るため、症状に対してお薬などでコントロールを図りながら、症状が出たときの対応を先回りしておくことで精神的安心を得る、そうすることで生活の質を確保する、という流れが基本です。お子さんの症状が強くなる時がどんなときか、お子さんの性格や置かれた状況に応じて調整していくため、必要に応じて学校と連携を行います。

多職種での支援

当院では、医師や看護師だけでなく、心理士、言語療法士、作業療法士など、いろんなスペシャリストたちが、お子さんの成長発達を応援致します。

  • 看護師
  • 心理士
  • 言語聴覚士
  • 作業療法士
  • 理学療法士

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